夏空と雲と雨と

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仕事が休みなら、一日中眺めていたくなるような空だった。

一日の大半を室内で過ごしている私には、突き刺すように強い夏の日差しも脳を刺激するには、ちょうど良い。

昼休みに電話番をしていると、男性から結果についての問い合わせが来た。

『すみません、結果について分からないことがあるので、聞いていいですか?』

その男性によると、胸のレントゲンで、去年まではなんともなかったのに、今年は、『わずかに所見があるが心配なし』と書いてあるが、『わずかな所見』ってどういう所見か知りたい。何か悪いところがあるのではないかと不安である、ということであった。

その男性の、名前と年齢を聞くと、まだ20代である。不安にもなるだろう。

私に出来ることと言えば、
「大丈夫ですよ。内容を確認してドクターから折り返しお電話を差し上げます」
くらい。

課長に、この件を伝えると、
「あ~、よくあるっちゃんね、その手の問い合わせ」
とのこと。受診票を持って判定室に行けば、主任がドクターに連絡取ってくれるから、と教えてくださったので、そうすることに。

受診票を持って判定室に行くと、主任は不在で、契約職員の女の子だけがいた。

彼女に事情を説明すると、受診票に書かれたイラストと数字を見て、
「陳旧性かなぁ、風邪でもこじらせたのが残ってたんですかね」
というお返事。

イラストと数字を見ただけで分かるのデスカ、すごいデスネ。とは、言わなかったが、後は彼女に任せることにした。

仕事が終わった頃には、外は真っ暗。

非常階段を下りながら、道路を見ると、水溜りに街灯の光が反射していた。空を見ると、所々に雲があるだけ。

どうやら夕立があったらしい。水溜りが出来ているのを見ると、強い雨が降ったのだろう。遅くに帰るのもたまにはいいものだ、と思いながらバス停へ向かった。
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